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徒然なるままに

写像の証明について

こんにちは、今日は写像の証明の書き方を考えていきます。是非とも最後までお付き合いください。

 写像の証明は「習うより慣れろ」なものだと思います。なので実際の問題を考えながら、証明の書き方を見ていきましょう。1つの問題で全射単射全単射と合成写像に触れられる問題があったのでそれを紹介します。逆写像、定値写像、恒等写像、直積集合については機会があればupします。

  • 2つの全単射f:A➝B,g:B➝Cに対して、合成写像g◦fも全単射であることを示せ。

この問題では、g◦fが全射であり、かつ単射であることを証明する必要があります。つまり、1個の問題で2回証明をするのです。それではまずg◦fが単射であることを示します。ちなみに、賢い読者さんは分かっていると思いますが、単射であることの使い方は「写像した結果が同じならば写像前も等しい」という風に使うのがよいでしょう。(他にも色々な表現法はあると思いますが。)なぜなら単射はそもそも写像写像が一対一対応している状態のことを表しているからです。

解答例)g◦fが全単射であることは、g◦fが全射であり、かつg◦fが単射であることと同値である。まず、g◦fが単射であることを示す。

 任意にa1,a2∈Aをとる。このときg◦f(a1)=g◦f(a2)と仮定する。

g◦f(a1)=g(f(a1))

g◦f(a2)=g(f(a2))

が成り立ち、gは単射なので(∵gは全単射)、g◦f(a1)=g◦f(a2)という仮定から

f(a1)=f(a2)

が成り立つ。さらにfも単射なので

a1=a2

が成り立つ。したがって、任意のa1,a2∈Aに対してg◦f(a1)=g◦f(a2)が成り立つときa1=a2が成り立つので、g◦fは単射である。

 

次にg◦fが全射であることを示しますが、証明における全射の使い方も確認しておきましょう。全射は、「写像後の集合から任意に要素をとってきた場合に、その要素の写像前の要素が必ず1つ以上存在する」というような使い方がいいのではないでしょうか(というより定義そのものですね)1つ以上存在することを示すには、1つ具体的に(とはいっても文字を使いますが)存在することを示してやればいいのです。

解答例の続き)

次にg◦fが全射であることを示す。任意にc∈Cをとる。gは全射であるので、

g(b)=c

を満たすb∈Bをとる。fも全射なので、このbに対して

f(a)=b

を満たすa∈Aをとる。このとき

g◦f(a)=g(f(a))=c

となる。したがって、任意のc∈Cに対してg◦f(a)=cを満たすa∈Aが存在するのでg◦fは全射である。以上からg◦fは全単射である。(Q.E.D)

 

どうでしたか?以上のことをまとめると、単射では「任意にとる」と「写像後が同じ⇒とった文字が同じ」がお作法であり、全射では「任意にとる」と「写像後からどれをとっても写像前が存在する」がお作法です。あとはこれらを組み合わせていけばいいわけです。

というわけで、とりあえず写像の話は終わりにします。課題頑張ってください。

あ、余談になりますが青ブタの映画見に行くので覚えてたら感想とか書きます。

ではではー。